法人税対策は法人保険で!節税の仕組みと損金計上のルールを解説
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企業にとって、毎年の法人税の支払いは非常に大きな負担です。せっかく利益を出してもその大部分を税金として引かれてしまうため、節税対策に頭を悩ませる経営者の方も少なくないでしょう。
節税対策には様々な選択肢がありますが、どんな経営者の方でも手軽に活用できるものとして、法人向けの生命保険がおすすめです。
支払い保険料の損金計上、また将来の解約返戻金の受け取りによって、長期的に考えると会社にとってメリットの大きい節税効果をあげることが可能です。
今回は、法人税に悩む経営者の方に向けて、法人保険を活用した節税対策について解説。決算時期を迎える前に、ぜひ法人保険による節税を検討してみて下さい。
法人保険で節税が可能!生命保険を利用した決算対策とは
法人保険を活用した節税対策は、損金計上と解約返戻金がポイントです。
法人保険に加入すると、支払った保険料の一部を損金として計上することが可能です。会社の損金が増えると、その分課税所得が減るため、結果として法人税が減ります。
また、法人保険の中でも特に生命保険は解約返戻金があるため、返戻率の高い時期に解約することでまとまったお金を得ることが可能。
法人保険の「支払保険料の損金計上」と「解約返戻金の受け取り」を上手に使うことで、法人税を減らしつつ将来的に資金を得るというメリットの大きな節税対策を行うことができるのです。
保険料を損金として計上できる割合や解約返戻率は保険商品によって異なるため、どんな保険商品を選べば最適な節税効果をあげられるかどうかは慎重に検討する必要があります。
また、法人保険に加入するということは、当然ながら継続的に保険料を支払っていくことになります。会社のキャッシュフローに影響を与えるため、先々もしっかり保険料を支払っていけるのか考える必要があることも忘れてはいけません。
そのため、法人保険による節税対策を行う際には、税理士や法人保険を扱う保険会社のスタッフなど、保険や税のプロに相談しながら考えるのがおすすめです。
2019年の税制改正による影響は?
法人保険を活用した節税対策は以前から多くの経営者から人気を集めており、全額損金や半額損金などのいわゆる「節税保険」と呼ばれるような節税効果の高い保険商品も多く出回っていました。
しかし、法人保険による節税はかねてから国税庁が問題視しており、たびたび税制の見直しが行われてきました。そして2019年には大きな税制改正が行われ、法人向けの生命保険に関する損金計上のルールが変更されたのです。
この2019年の税制改正で変更となったのは、法人保険の最高解約返戻率の大きさに応じて支払い保険料の一部を資産として計上する必要があるという点。
解約返戻率の高い法人保険ほど資産に計上する割合が高くなっており、資産計上する期間なども細かく決められています。
最高解約返戻率 | 項目 | 取扱 |
---|---|---|
50%以下 | 資産計上不要(全額損金算入) | |
50%超~70%以下 | 資産計上期間 | 保険期間の前半4割 ※被保険者1名あたりの年間支払い保険料の合計額が30万円以下の場合は、資産計上の必要なし |
資産計上割合 | 支払保険料の4割 | |
資産取り崩し期間 | 保険期間の前半3/4が経過後、均等取り崩し | |
70%超~85%以下 | 資産計上期間 | 保険期間の前半4割 |
資産計上割合 | 支払保険料の6割 | |
資産取り崩し期間 | 保険期間の前半3/4が経過後、均等取り崩し | |
85%超~ | 資産計上期間 | ①保険期間開始後、最高解約返戻率を迎えるまで ②1の期間経過後、年間保険料に対する解約払戻金の増加割合が0.7を超える期間があれば、その期間の終わりまで ③ 上記の①および②の期間が5年未満の場合、5年間 (保険期間10年未満の場合、保険期間の1/2期間) |
資産計上割合 | 保険期間開始~10年間: 支払保険料×最高解約返戻率×90% 11年目~: |
|
資産取り崩し期間 | 最高解約返戻率を迎える期間を経過後、均等取り崩し |
以上のように、最高解約返戻率の大きさに応じて保険料の一部を資産として計上しなければいけなくなったため、税制改正以前と比べて法人保険の節税効果は小さくなってしまったとも言われています。
しかし、だからといって法人保険による節税効果は意味がなくなったのかと言われれば、そうではありません。
その理由を、次に解説していきます。
今後の節税は「解約するまでの長期的な目線」で損金割合を考える
税制改正後の新ルールで注目すべきは、資産計上する割合と期間です。
たとえば、最高解約返戻率が70%超~85%以下の損金計上取り扱いを見て下さい。
最高解約返戻率 | 項目 | 取扱 |
---|---|---|
70%超~85%以下 | 資産計上期間 | 保険期間の前半4割 |
資産計上割合 | 支払保険料の6割 | |
資産取り崩し期間 | 保険期間の前半3/4が経過後、均等取り崩し |
このタイプの法人保険では、資産計上する必要のある期間は、保険期間の前半4割。そして、資産計上する割合は保険料の6割です。
これを見ると、損金として計上できる割合は4割しかないと考えてしまいがちですが、実際はそうではありません。
保険期間のうち、前半4割は確かに資産計上6割・損金計上4割ですが、資産計上しなければいけない期間をすぎれば、資産計上は必要ありません。つまり全額が損金計上です。
また、資産取り崩し期間に入れば、支払保険の全額に加え、前半に資産計上した分を取り崩して損金に計上することが可能。
上記のことを踏まえて「最高解約返戻率が70%超~85%以下の法人保険に加入してから解約するまで」の長期的な目線で考えると、最終的な損金計上割合はどうなるでしょうか。
実際に販売されている保険商品のプラン設計を簡略化して、概算の損金計上割合をだしてみました。
法人向け定期生命保険 / 保険期間25年 / 最高解約返戻率84% / 最高解約返戻率は13年目
13年目に解約すると、
損金計上割合
{(25年×4割)×4割×年間支払保険料 + (13年-25年×4割)×年間支払保険料}÷ (13年×年間支払保険料)=7/13 = 約53%
よって、解約までの損金計上割合は約53%。税制改正前に節税対策として人気を集めていた「半額損金(半損)」を超える損金計上割合になります。
税制改正後に法人保険の節税効果は小さくなったと言っても、このように解約までの長期的な目線で考えれば、まだ十分節税効果は見込めるでしょう。
まとめ:法人保険は正しい知識を持てば効果的に節税できる
今回は法人保険の節税効果を解説してきましたが、いかがでしたか?
税制改正で法人保険の損金計上ルールが変わり、保険を使った節税はできなくなったと言われることもありますが、実際はそうではありません。
法人保険を解約するまでの長期的な目線で考えれば、節税効果をあげることは十分可能です。
損金に計上できる割合はピーク時の解約返戻率の大きさによって細かく決められているため、ルールをきちんと理解した上で法人保険に契約することが重要になります。
法人保険を活用した節税について正しい知識を持つことはもちろん、法人保険を扱う保険会社のスタッフや税理士など、保険と税について精通しているプロのアドバイスを受けながら節税対策をして下さい。